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椎間板ヘルニアについて

椎間板ヘルニアのお話し

私も20代、30代で1度ずつ経験した椎間板ヘルニアですが、その症状はピンキリになります。軽度のヘルニアの場合は特に治療を必要としない場合も多く、筋力強化や体幹強化といった「ヘルニアを起こす要素を抑え込む」形でヘルニアの治療に取り組みます。

ちなみに私の場合は「重症」だったので「手術適用」となりました。2回目の診察でMRI撮影をした直後に手術の宣告をされたことを今でもはっきりと覚えています。「如何にヘルニアを抑えて生活をしていくかが肝心です」「スポーツなどは我慢をしてください」「難しい手術ではないが後遺症が残る可能性もあります」といった事を矢継ぎ早に伝えられました。その瞬間は頭が真っ白だったので「聞き流すので精一杯」だったと思います。

結果、私は手術を選びませんでした。この診断をきっかけにして「保険診療」以外の選択肢を初めて意識するようになったのです。結論から言いますとカイロプラクティックで僕の神経痛症状は全て収まりました。あの時「手術」を選択しなくて本当に良かったと思います。手術は僕らには非日常ですが、お医者さんには日常です。ですので僕らが思っている以上に気軽に提案をしてきます。

それが間違っているとは僕は思いませんが、今でも思うのは「別の選択肢も示して欲しかったな」という事です。あの時、追い詰められた僕にお医者さんは「保存療法」「手術」の2つしか示してくれませんでした。でも実際はもっと沢山の選択肢が世の中には溢れています。

医学的根拠がないから、自分の専門分野ではないから。そんな理由で「その他の選択肢」を伝えてくれないのは患者目線ではないと思います。押し寄せる患者さんを捌く事で精一杯になっているというのもわかるのですが、もう少し寄り添ってくれてもよかったのではないかと思うのです。何よりカイロプラクティックには医学的根拠がある、というより西洋医学なのですから。

その1:椎間板ヘルニアって何だろう?

椎間板ヘルニアとは20代~30代の働き盛りの世代によく起こっていた疾患です。私も20代で発症し、30代で再発しました。腰痛の王様と呼ばれることもある疾患で、その特徴は悶絶する様な腰痛です。発症直後は歩くことすらできません。但しヘルニアの程度によって症状はバラバラです。

そんな椎間板ヘルニアについての説明をしていきたいと思います。

「飛び出した状態」ならヘルニアです

まず、椎間板ヘルニアという言葉の意味から始めましょう。椎間板とは背骨の骨と骨の間に挟まっている「クッション」になります。椎骨と椎骨の間にあるクッション板ということで椎間板と名付けられたとか。

この椎間板は「大福もち」の様な構造をしていて、外側の皮は「繊維輪軟骨」と呼ばれ、内側のアンコは「髄核」と呼ばれています。この椎間板に大き過ぎる負荷が掛かってしまい、中のアンコが皮を破って外へ飛び出した状態が「ヘルニア」と呼ばれる状態になります。「ヘルニア=本来の位置から飛び出した状態」という事になります。

そう考えると身近なところでも沢山のヘルニアが存在していることがわかります。例えば赤信号をフライングで渡り出した人は「横断ヘルニア」です。本来なら赤信号では飛び出してはいけない場所に飛び出してしまっています。

運動会でのフライングも「スタートラインヘルニア」です。本来なら飛び出してはいけない場所に身体が飛び出してしまっているので立派なヘルニアと言えます。他にも食事の「つまみ食い」等も立派なヘルニアですね。

実にくだらない例えを出しましたが「飛び出した状態」なら何でもヘルニアという事になります。大事なのはそこを理解する事です。

腰と首が一般的に知られています

日本のヘルニアと言えば「腰椎椎間板ヘルニア」と「頸椎椎間板ヘルニア」が二大ヘルニアだと思います。ですが、先程述べた様に「ヘルニア=飛び出した状態」が正しい定義ですので、実はもっと沢山のヘルニアがあります。「食道裂孔ヘルニア」「横隔ヘルニア」「腸ヘルニア(脱腸)」など、魚の目だって本質的にヘルニアの一種(角質ヘルニア)と呼んでも良いのではないでしょうか。

とにもかくにも「ヘルニア」と呼べる疾患・症状は実は沢山あるのです。

最近は診断されることが激減しています。

椎間板ヘルニアは昔は20代~30代の腰痛患者の多くで診断を受けていました。ですが「ヘルニアの有無と痛みの関連性」について疑問を呈するようなデータも出てきているせいか、腰痛でヘルニア診断を受ける人は少なくなっています。昔はレントゲン検査だけでヘルニア診断をするお医者さんが多かったのですが、時代とともに診断そのものも揺れ動いている様です。

私自身がヘルニアにならなかったら「医学の診断ってこんなにコロッと変わるんだ」なんて想いもしなかったはずです。そういう意味では良いタイミングでヘルニアを起こせたのかもしれません。ヘルニアを通して診断学を学べました。

その2:ヘルニアはどうやって起こるのか?

強烈な腰痛でヘルニア診断を受けなかったとしても「そこにヘルニアがある」という人は沢山います。ヘルニアが痛みに関わる場合もあれば無い場合もあるというのが実際なのでしょう。

そこでヘルニアがそもそもどうして起こるのか、という点についての紹介をしていきます。なお、ここでは主に椎間板ヘルニアについての解説になります。

負担の積み重ねが招きます

椎間板がヘルニアを起こす理由。それは「大きすぎる負荷」です。どの部位の椎間板であったとしてもその原因は基本的に「許容量を超えた負荷が掛かった」からだと考えてください。腰痛からヘルニアへと展開してしまった人は思い当たる節があるはずです。「確かに無理をさせていたなぁ。。」と。

一度に大き過ぎる負荷が掛かる場合と、小さな負荷が絶え間なく掛かり続ける場合とに分かれます。ぎっくり腰などは「大きすぎる負荷が掛かる」事で起こる事が多いですが、ヘルニアの場合は「小さな負荷が絶え間なく」で起こるケースが多いです。私もそうでした。

慢性腰痛の先に顔を出すヘルニア

椎間板ヘルニアは突然顔を出すことはまずありません。まずはその前段階として「慢性的な腰痛」という症状が腰に居座ります。首の場合は「首~肩の凝り」が出てきます。その症状をずっと放置している中で小さな負担が腰や首の椎間板に蓄積していき、ある日「きっかけ」をもってヘルニアが発症するのです。

ヘルニアが起こると「重だるい筋肉中心の症状」から「ビリビリくる神経系中心の症状」へと症状の質が全く切り替わりますので早い段階で気付くと思います。「これは何かいつもと違うぞ」と。私の場合は背筋が凍りました。明らかに今までの症状とは質が違うと肌で感じたのです。

ゆがんだ姿勢は要注意です

椎間板ヘルニアを引き起こしやすい最大の要素は「姿勢」です。ゆがんだ姿勢とはまさしく「ゆがんだ身体の使い方」がそのまま形になったものなので、姿勢がゆがんでいる時点で身体の筋肉はバランスを崩しながら頑張っている状態となります。この不自然な状態は椎間板への負担が常に掛かっているのです。

この決して大きくはないものの、常に椎間板へと掛かる負担が積み重なっていくと「さらなる姿勢の歪み」と「椎間板への疲労の蓄積」が進み、椎間板の限界点を超えた瞬間に「重だるい」→「ビリビリ!」という症状の転換が起こります。

ちなみに「ピリピリ」が起きる場合もありますが、それは予兆です。「このままだと身体が持たない」という身体からのメッセージとなりますので、早い段階で対策をとってください。ピリピリの段階であればまだ簡単に引き返せます。

その3:ヘルニアの症状って何?

椎間板ヘルニアの代表的な症状は「強烈すぎる腰痛」です。あの凄まじさは正直文字で表現するのは困難です。経験したときに「これはいつもの腰痛とは何かが違う」という嫌な予感がするはずです。

立つのも困難な腰の激痛が起こります

私が初めて椎間板ヘルニアを経験したとき、それは強烈な腰痛で始まりました。痛みとしては「ぎっくり腰」に近いです。腰から上が全く支えることができなくなり、まっすぐ座る事がまず困難になります。その時になって初めて「背骨は支えあって積み重なっているんだ」という事実に気付けました。腰骨がそこから上の背骨を支えることができずにグラグラするのです。そしてグラグラする度に「この世のものとは思えない激痛」が腰に走ります。

骨に直接響くような激痛が起こります

僕が経験した椎間板ヘルニアの痛み、その特徴は「骨に響く」という点でした。これもぎっくり腰に近い印象です。少し身体を入れ替えようとすると金属を金づちでカーンと叩いたような響き方を骨がするのです。悶絶するような痛みでした。これのおかげでトイレにすら満足に行けなくなったのです。何せ寝返りを打とうとすると地獄の痛みが腰骨からお尻~太ももの裏へと通って響くのです。

くしゃみ、咳すら困難になります

これもぎっくり腰の悪化した時の状況に近いです。くしゃみや咳といった「お腹に力が入る(腹圧が高まる)」行動全てが激痛を引き起こします。咳をする度に骨がきしむというのは人生で初めての経験でした。咳はまだ勢いが小さいので良いのですが、くしゃみの破壊力は半端ではありません。必死にくしゃみや咳を堪える姿は周囲からは異様に見えたと思います。でも本人にとっては必死の防衛行動だったのです。

ぎっくり腰とは違う脂汗が出てくるレベル

腰から上がグラグラして安定しない、咳一つで骨が軋む様な痛みが襲い掛かってくる。せっかく見つけた安全地帯も咳一つですべてが台無しです。油断のできない状況に脂汗がどんどん滲み出てきた事を覚えています。とにかく少しでもいいから休みたい。ゆっくり寝たい。当時はそんなことばかり考えていました。寝てしまえば痛みなんて忘れてしまえるんじゃないかと淡い期待を抱いていたのです。

一定の角度から起こるビーン!という神経痛

私が「これはただの腰痛じゃないな」と直感で感じたのは「痛みが一定の角度で確実に起こる」という法則性を持っていることに気付いたからです。ぎっくり腰の場合は腰から上がグラグラはすれど一定の角度から痛みが突然起こったり、痛みが嘘みたいに消え去ったりという事はありません。常に不安定な腰と痛みがセットでした。

それが腰を一定の角度まで曲げると「ビィィィーーン!!」と腰からお尻~太ももの裏へと「曲げていない、動かしていない場所」まで痛みが伸びていくのです。それも曲げた角度によって痛みの範囲が自由自在になるという。

「まさかこれが神経痛というやつか」

流石の僕もそこで気付くことができました。特定の角度で痛みが起こり、症状が広がり、特定の角度で痛みが消えるのは「そこが神経圧迫されている箇所か」と。神経痛は「0」か「1」の様に痛みが瞬時に切り替わる瞬間があります。これは筋肉や関節を痛めただけの腰痛やぎっくり腰にはない特徴でしょう。

その4:ヘルニア直後はどうすればいいの?

椎間板ヘルニアを発症した直後は冷静でいられる人はまずいないでしょう。「自分の身体に何が起こったの?」と頭は大混乱になるはずです。私の場合は「ヘルニアではないだろう、ヘルニアではないはずだ」ととにかくヘルニアを否定する自分が強かったと記憶しています。「ヘルニア=再起不能」というイメージが強かったからだと思います。

今から考えると随分と短絡的な考え方だなぁと思いますが、ヘルニアという言葉自体殆ど知らなかった自分には「腰痛以外の何か」は全てが不治の病に感じられていたのです。

方法1:痛くない姿勢を探しましょう。

これはぎっくり腰の対処と同じです。椎間板ヘルニアの症状が出たときはとにかく「痛みが治まる姿勢」を探すことから始めましょう。「どの姿勢をとっても痛い」というのは想像以上にストレスです。まずは落ち着ける場所を探すことが先決です。神経痛の場合は「とんでもなく痛い」状態と「嘘みたいに痛みが消えている状態」のオンオフが非常に明快です。

方法2:安全地帯で冷静になりましょう

「痛くない場所・姿勢」を見つけたらまずは一息つきましょう。深呼吸をして気持ちを落ち着けるのです。まずは自分の置かれている状況を冷静に分析して「自分の身体に何かが起こった」「いつもの腰痛とは明らかに違う何か」「何かがいつもと違う」という現実を受け止めましょう。ここでパニックを起こして無理に身体を動かすと症状をどんどん悪化させてしまい回復が遠のいてしまいます。

方法3:痛みが出る角度を探しましょう

椎間板ヘルニアの場合は痛みが出てくる「姿勢・角度」というものがかなりわかりやすいです。一定の角度から腰を曲げると途端に症状が出てくる。その角度から離れると途端に痛みが消えていきます。本当に嘘みたいになくなるのです。これは腰痛やぎっくり腰にはない神経痛特有の症状の再現性です。

ですので、自分の身体はこれ以上曲げるとマズイ、これ以上伸ばすとマズイ、といった「動かせる範囲」と「動かしてはいけない範囲」をしっかりと調査しておきましょう。自分の行動範囲が広がるという事は「自分のコントロールできる生活範囲」が広がるという事です。それはそのまま生活上の安心・余裕につながります。

方法4:生活経路を確保しましょう

椎間板ヘルニアの症状が出た場合、ぎっくり腰同様に「日常生活が崩壊」し始めます。発症の直前まではいとも簡単にできていたことが途端に全くできなくなる。特にトイレ、お風呂、部屋の移動。果ては着替えまでが困難になっていきます。

そこでまずは最低限の生活導線を作ってしまいましょう。「トイレにはどういくか」「水分補給はどうするか」「お風呂はどうしようか」など。経験者としては「トイレまでの経路」だけは真っ先に考えるべきです。食事や水分補給は何とでもなりますが、トイレは座るまでが一苦労。座ってからが一苦労。用を足してから一苦労と無事に着いてからも困難が溢れています。

方法5:職場や学校、友達に報告をしましょう

ある程度自分の状況を整理できた場合、関係者に連絡をしましょう。社会人であれば職場・上司に報告を。学生の場合は担任、友達に報告をしましょう。両親が共働きの場合は両親にももちろん連絡が大切です。

椎間板ヘルニアはぎっくり腰以上に「共感」を得にくい疾患です。経験している人がぎっくり腰や腰痛に比べて圧倒的に少ないのです。その為、こちらから積極的に情報を発信しなくては「何をサボっているの」と心無い一言を言われるケースも出てきます。

その5:ヘルニアを何とかするにはどうすればいい?

腰痛に比べても非常に厄介な椎間板ヘルニア。程度が軽いのであれば余り気にすることはありませんが、坐骨神経痛などが起こっている場合はそれなりに対応を考えなくてはいけません。症状の悪化を防ぐことと症状の改善を導くこと。この二つに同時に取り組むことが大事です。

方法1:とにかく絶対安静にしましょう

椎間板ヘルニアにおける特効薬は「時間薬」です。ヘルニアを起こしたばかりの身体は相当疲労が溜っています。ヘルニアの発症で一層の負担が掛かり、筋肉はヘロヘロの状態です。そんな状態では何をしても逆効果ですので、ゆっくりと身体を休めてあげることに集中してください。保存療法はとても身体に優しい確かな治療法といえるでしょう。

方法2:動ける様になってきたら病院へ

1~2週間身体を休めてあげればある程度は動ける様になります。そうなったら病院に行って身体に起こっている状況を確かめましょう。ヘルニアがあるならその程度はどれほどなのか。何番の骨にヘルニアが起こっているのか。何より痛みの箇所とヘルニアの箇所は一致しているのかどうか。

画像診断からでないと見えない情報は沢山ありますので病院で治療を受けるかどうかは別にしてもレントゲン・MRIといった画像診断は受けてください。どんな方法を選ぶにしても「確かな情報」は適切な治療・施術に必要不可欠となります。

方法3:選択肢は無数にある事を知ろう

椎間板ヘルニアの治療法についてはインターネットを調べると「保存療法」「運動療法」「薬物療法」「手術療法」といった病院での治療法が目に入ると思います。これはインターネット検索が「病院の情報」「医者監修の情報」を優先的に扱っている為に起こっている現象です。また、椎間板ヘルニアに対する治療行為は法律の問題上、医師にしかできないからです。

ですが、選択肢は無数にあります。椎間板ヘルニアそのものへの治療行為ではなく、椎間板ヘルニアを起こす原因となった「身体のバランスの崩れ」「筋肉のバランスの崩れ」「ゆがんだ姿勢」「ゆがんだ神経経路」を再調整することで椎間板ヘルニアを触る事なく椎間板ヘルニアによって起こった症状を改善に導くことは可能なのです。

椎間板ヘルニアに苦しめられている人の助けになる方法は思っている以上に沢山あるのです。

方法4:決めるのは自分自身です。

今の日本は「国家資格者」と「非国家資格者」の溝が非常に深いです。立場上この両者がお互いを認め合う事は中々無いでしょう。

初めは誰もが思うはずです。「やっぱり国家資格者の方が安心できる」と。そこで改善が見られた場合はそれが一番です。ですが望んだ結果にたどり着けない人もまだまだ沢山いるのです。私もその一人でした。評判の良い先生を手当たり次第に回りましたが何も変わらず時間とお金だけが浪費されていく状態に。

そんな時には「国家資格」「健康保険」の外側にも目を向けてみましょう。想像していたのとは全然違う新しい世界が広がっています。「無資格者は不勉強だ」と指摘する「国家資格者」の先生は多いですが、その逆であることの方が多かったです。

ですが、それはあくまで私個人の見解にすぎません。自分はどうするのか。どの選択肢を選ぶのか。それは結局自分自身が決断しなくてはいけないのです。

その6:椎間板ヘルニアからの職場復帰の期間は?

椎間板ヘルニアを発症して、身動きが取れなくなった患者様が真っ先に頭に浮かぶことは「職場復帰はいつ頃にできるのか?」という点です。日本人の良いところであり悪いところでもあるのですが「周囲に迷惑をかけられない」と自分の身体の心配よりも周囲に対する心配をします。これがヘルニア患者の地獄を生み出す要因だと覚えておいてください。

1~2週間での復帰はまず無理です。

椎間板ヘルニアはぎっくり腰や慢性化した腰痛とは全く事情が違います。ぎっくり腰なら2~3日の安静で動ける様になりますし、慢性化した腰痛の場合は多少の無理をしたところで身体が壊れるという事はまずありません。でもヘルニアは違います。

発症後2~3日で痛み止めを服用しながら出勤する人もいますが、ヘルニアが悪化して状況がより一層深刻になるケースが殆どです。ヘルニアは1~2週間での職場復帰は無謀です。

1ヶ月の安静で動けるようになることが多い

椎間板ヘルニアの安静入院は基本的には1ヶ月が多いです。1ヶ月間ゆっくりと療養することでヘルニアを起こしている周辺の組織・筋肉が落ち着きを見せますのである程度は動ける様になってきます。

椎間板ヘルニアを発症した場合、安静入院にせよ自宅療養にせよ、1ヶ月程度の期間を目安にしておきましょう。ヘルニアは冗談ではなく人生の分岐点になるケースが多い疾患です。くれぐれも「まぁ腰痛がひどくなっちゃった程度だろう」と軽く考えないようにしてください。

目先より将来を見据えて行動しましょう。

ぎっくり腰にしても椎間板ヘルニアにしても、日本人はとにかく「組織優先」で物を考えがちです。「私がいないと周りに迷惑をかけてしまう」と責任感が優先されるのです。それはとても素敵な美徳だと思いますが、ヘルニアの場合は余程の事が無い限りは自分の健康を最優先にして動いてください。

椎間板ヘルニアをはじめとする神経痛症状は本当に一生ものの傷となる場合があります。ここで踏ん張って治し切らないと今後の仕事の選択肢が一気に減ってしまうのです。神経痛症状は本当に馬鹿にしてはいけないのです。

可能なら休職してでも完治を目指しましょう。

私が椎間板ヘルニアで悩む患者さんにアドバイスをする時、いつも「休職できるならした方が良い」と伝えています。ここで無理をして出勤し、身体を壊して自主退職となる人を沢山見てきたからです。ヘルニアが進行して手術を選択した方もいました。症状が残った人もいますし、症状が取れたと喜んでいたら半年後に症状が戻ってきた人もいました。

手術は1度したら引き返せません。「やり直し」がきかない世界です。しかも執刀する側の論理とされる側の論理の乖離がかなり大きいので認識に溝が生まれがちです。執刀側は「ヘルニアはきれいに取れた。成功です」と言っている一方で、患者は「いや、痺れが半分近く残っているんですけど。。。」という押し問答になる事も少なくありません。

私は手術のリスクの大きさを目の当たりにしてきました。だから手術をして即職場復帰を選ぶくらいなら、休職してでも完治を目指すべきだと思います。会社に迷惑をかけてしまうなら、完全復帰してから倍返しをした方が良いと思うのです。

椎間板ヘルニアは家族の理解が得られるのであれば絶対に完治を最優先にしてください。1週間先の仕事の心配よりも1年先、5年先の自分自身の心配をしてください。

その7:私はこうしてヘルニアと向き合いました

そんな私は20代半ばで椎間板ヘルニアを発症しました。人生初の寝たきり生活に頭は大パニックでした。立てない。歩けない。座れない。トイレに行くだけでも10分以上かけて貞子さんの様にはいつくばる始末。

仕事が~の前に「生きるって何?」というレベルの落差を経験してしまいました。その瞬間を境に日常生活が崩壊したのです。

原因はわかっていました

そんな私が椎間板ヘルニアを患った原因。それは「働き過ぎ」と「ストレス」でした。大学院を経て新卒となった私は新進気鋭のベンチャー企業に職を得て、毎日18時間くらい働いていたのです。非常に楽しいサラリーマン生活でしたが、スピードと発想重視のベンチャー特有といえる「矛盾と理不尽」にもみくちゃにされる生活でしたので、ストレスは相当だったと思います。

勢いのある会社って全体がナチュラルハイな状態にあるので「感覚麻痺」になってしまうのだと思います。猛烈なストレスに包まれつつも、ドーパミンの方が勝っていた様な状態です。

でも、それはあくまで「脳内」の話であって実際の身体はそうはいきません。感覚が鈍っていてもストレスや睡眠不足のダメージは確実に蓄積していたのでしょう。その日は突然やってきました。

休息か退職か

前日は18時間働き、次の日には寝たきり。そんなジェットコースターの様な展開を迎えた私はとにかく決断が必要でした。「出社できない自分、いつ戻れるかの目安も不明。どういう立ち位置になるんだろうか」と考えたのです。

働けないなら退職だろうな、今住んでいるのは会社の寮だぞ。おいおい今の身体で出ていけって言われても無理だ。

困った私はとりあえず会社に相談をしたのです。「こんな状態ですけど、どうしましょう」と。

私の場合はベンチャー企業だったので社風がとても自由でした。そして仕事はパソコンがあれば何処でもできるものだったので自宅で療養をしながら仕事をするという選択肢が存在しました。それなら僕にもできる。

そんなこんなで私は完全復帰を最優先にしつつ寮で仕事をするという選択をしたのです。当時の寮はタコ部屋だったので会社としても管理がしやすかったのだと思います。サボっていたらすぐバレますから。

完治に向けての話はまたの機会に

今回はヘルニアを発症してからの会社との向き合い方についての紹介をしました。ここから今度は「ヘルニアからの復活」に向けての行動が始まるのですが、それはまたの機会にしたいと思います。書き出したらもうとんでもない文章量になってしまいそうなので。

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