炎症痛と神経痛を理解しよう
炎症痛と神経痛。この二つを別の痛みとして認識している人は殆どいません。
何故なら「学ぶ場」が一般的な学校には存在していないからです。ですがこの「痛み」についてはある程度の知識と情報が有ると無いとで雲泥の差が出てきます。
経験するまでは学ぼうという意欲すら起きない事が多いと思いますが、もし健康について関心が高まってきたという場合は是非一読してみてください。
簡単にまとめておきます。
炎症痛は主に損傷痛といえる
私達が「痛み」としてイメージするものは大抵が「炎症痛」です。組織に何かしらの損傷が生まれた瞬間に「炎症反応」が起こり、発熱や発赤、痛みなどが付随します。
これが炎症痛です。
そもそも炎症とは何ぞや?という話なのですが、これは「ホメオスタシスの狼煙」だと考えてください。治癒過程のスタートを切る上でとても大切な生理現象です。
炎症は治癒過程の一部に過ぎない
炎症が起こる時には以下の流れを通ります。
- 組織が損傷する
- 損傷部位に炎症が起こる>痛みが起こる
- 炎症めがけて免疫系組織と治癒組織が突撃する
- 傷口を修復していく
- 炎症が収まっていく
- 完治する
これが炎症反応を含めた治癒過程の流れです。
炎症痛の特徴は「面」「ズキズキ」「続く」
炎症痛の特徴を大雑把にまとめますと以下の通りです
- 痛みはズキズキ、脈と同じリズムが多い
- ケガが治るまで痛みが常に出ている
- 痛みの範囲は広く、境界線が不明瞭
これが炎症痛の特徴となります。
炎症反応を抑えるのはなぜか?
炎症反応とは治癒過程の一部であるという事は分かったと思います。
では何故、治癒過程である炎症反応を抑える必要があるのか?そこについては「目的」が違うからとしか言い様が無いです。
抗炎症作用を持つ薬を処方される場合、基本的には「鎮痛」目的となります。だから「痛みの原因」である炎症反応を抑える事を優先するのです。
つまり「炎症反応」を「痛みの原因」とするか「治癒過程の一部」とするかで対応が変わっているという事です。
神経痛は損傷が無くても起こる
炎症痛は一般的に損傷痛と紹介しましたが、一方の神経痛はどうでしょうか?
こちらは組織の損傷が無くても起こる痛みです。神経組織に「圧迫」や「血流障害」が起こる事によって猛烈な痛みが襲い掛かってきます。
神経痛は炎症痛とは全く異質の痛み
神経痛は経験した人ならすぐにわかるのですが「炎症痛とは全く異質」です。ですので「これは炎症痛?神経痛?」と迷う事は余りないでしょう。
「自分の知っている痛みとは何か違う!」
この様な違和感を感じる事ができると思います。そして初めての経験だと得体のしれない感覚という事で猛烈な不安が押し寄せてきます。
とにかく神経痛と炎症痛は全く質が違うという事を覚えておいてください。
神経痛の特徴について
神経痛の特徴は以下の通りです。
- 痛みはピリピリ、ビリビリ、ビーン!
- 特定の姿勢などの条件が揃わない限り出てこない
- 痛みの範囲は狭く限定的。線の様に境界線がはっきりしている。
- 痛み意外にもボワァ~っとした感覚鈍麻といった症状も出る。疼く様な感じも
これが神経痛の代表的な症状です。
神経痛が起こる原因は主に3つ
神経痛が起こる原因は以下の通りです
- 神経自体が損傷する ※損傷なので炎症痛も起こる
- 神経が圧迫される
- 神経への血液供給が不足する
神経は身体の中にありますので、基本的に「1」は少なく「2」「3」が臨床では多いです。ただ「2」「3」の見分けは難しいです。果たしてできるのだろうか。
院長個人は「できない」と思います。
神経圧迫と血流障害は同時に起こっている
神経圧迫は基本的に「筋肉の拘縮」が原因となって起こります。筋肉がカチコチになって縮んだままになり、下を走る神経を圧迫させてしまうのです。
そして筋肉が拘縮を起こすと神経だけでなく血管も圧迫します。当然血流障害が起こります。
そうなると神経痛の原因が「圧迫」か「圧迫による血流障害」なのか判別がつかないのです。どちらもほぼ同時に起こっている為。
神経圧迫の痛みと血流障害の痛みに明確な違いがあるのかもしれませんが、血流障害も急激に障害が起こると激痛が発症します。
脊柱管狭窄症の症状は神経痛と言われてきましたが、処方箋が血液サラサラの薬となると血液障害による疼痛プロセスと考えられます。
そうなると血液障害の症状であっても神経圧迫であっても神経痛は同様の症状と考えられます。
考えれば考える程に答えが見えてこないです。
結論:炎症痛と神経痛は明確に違う
神経痛の発症プロセスがまだ不透明だというのを置いといたとしても、炎症痛と神経痛が全くの異質な痛みであることは変わりありません。
そこだけはしっかり覚えておきましょう。