股関節は壊れたのではなく「変わろうとした」というだけ
これは当院の見解になるのですが、変形性股関節症とは「その環境における関節の適応障害」だと考えています。
つまり股関節が置かれている環境が股関節の持つ機能を超えてしまっている状態です。
その為、骨棘を形成して新たな環境に適応しようと身体も変化を試みますが、そうなると本来の股関節の動きを制限してしまう形となります。
本来の環境と新しい環境のどちらにも適応できる股関節には中々なれません。
結果的に股関節は「その時点」での日常環境に適した関節へ適応する事を最優先とします。
歪んだ姿勢、歪んだ重心位置、偏った関節への負荷。
この環境に適応しようとした結果、負担の集中している片側には骨棘が形成され、筋肉は強く緊張状態に入り、関節は重さに適応する為に運動性を犠牲にしてしまいます。
この一連の流れが変形性股関節症だと当院は考えています。
人間本来の姿勢を取り、重心が正中線上にあり、毎日十分な関節運動をしている人で変形性股関節症を起こしている人はまずいません。
それは股関節にとって本来の有るべき環境が日常にあるからです。
先天性のもの、臼蓋形成不全だから、など色々な原因が医学の力で明らかになっています。
ですが、当院では根本原因はそこではなく「股関節が日常的にさらされている環境」に関節変形の原因が潜んでいると考えています。
関節が求めている環境を与えてあげよう。それで股関節は元気でいれます。
変形性股関節症は進行性で非常にゆっくりと進んでいきます。ですが決まって進行が始まるのは身体の活動量が減り始める頃です。
変形性股関節症の始まりは「関節の可動範囲」が狭くなる事から始まります。「身体が固い」が正にそれです。
関節に異常が起こっていなくても「運動不足」や「長時間の同一姿勢」によって重心位置はずれ、体重と重力を骨で支える事ができずに筋肉だけで支える形になります。その結果、抗重力筋の一部が常に緊張をしてしまいます。
これが変形性股関節症の始まりです。
私達の日常生活は実は身体にとっては望ましい環境とは言えないのです。
身体が求めている環境とは「1日1回は身体をしっかり使う」という事
私達人間の身体は「使う事」を前提に作られた優れた構造物です。正しい使い方をすれば寿命期間ずっと動き続けてくれます。むしろ身体は元気なまま、命が燃え尽きるという「ピンピンコロリ」だって普通にあるのです。
ですが、今の社会は身体をとにかく使いません。使うといっても偏った使い方ばかりが増えてきました。
これは私達人間の身体からすると「本来の使い方」とは言えません。これが変形性股関節症をはじめとする変形性の関節症を引き起こす原因です。
当院のHPでは何度も出てきますが「身体を本来の使い方で使っていない」という1点が関節を変形させていくのです。
1日1回は身体をしっかりと使ってあげましょう。時間は30分もあれば十分です。サーキットトレーニング等でもよいので主だった関節をしっかり使ってあげる習慣をつけましょう。
そしてその運動習慣を如何に生活に溶け込ますか。これが股関節を生涯守り抜くポイントとなります。
しっかり股関節を使う為にも股関節の仕組みを学ぼう
テレビや雑誌、インターネットで良く出てくるのが「変形性股関節症を治すストレッチ!」みたいな謳い文句のものばかりです。
まるで「これをしておけばもう安心なんだ」と言わんばかりの情報となっていますが、ただ取り組むだけで改善するようなケースは余りありません。
その方法に込められている「意味と目的」を実践する側が理解しない限り正しく実践できないからです。
本当に変形性股関節症を防ぎたい、予防したい、改善したいと考えるのであれば
- 股関節の運動範囲を理解する
- 取り組む内容の目的を理解する
この2点だけはしっかり抑えておきましょう。
この2点をしっかり抑えずに取り組み、思う様な効果が出ない事で「違う方法にしてみよう」と八艘飛びの様に様々な方法を試す患者様が多いです。
これは「ただやってみた」というケースに多い様です。
しっかり意味と目的を理解して取り組めば効果の出ない運動療法はありません。必ず何かしらの変化が出ます。
ですので「最高の方法は何か?」と様々な方法を探す事よりも「最高の方法にするには何が必要か?」という逆の発想で取り組んでみてください。
取り組み方一つで、どんな方法も最高の方法になるのです。