変形性股関節症は本来正中線上にあるべき重心位置が左右いずれかにズレているケースが殆どです。
重心が偏っている方の膝と股関節に負荷が集中しており、関節が圧迫され続けて痛めていきます。
症状が進行すれば「骨棘」の形成が起こり、関節の隙間も狭くなっていきます。
この状態で何ができるのか?
一番確実な改善方法は「重心位置を正常化させる事で関節にかかる負荷を減らす」という事です。
痛めた股関節を触るより、関節の負担を軽減させること
変形性股関節症と診断をされる股関節は初めて見た人でもはっきりわかるくらいに「関節の隙間」がなくなっています。
半月板が収まるべきスペースにまで骨が押し込まれてきている状態です。これは股関節にかなりの負担が掛かっています。
この股関節への荷重状態を継続していると、変形性股関節症は進行していきます。
- 歩行時の振り上げている足の着地時
- 階段を降りる時の着地時
やはり階段を下りている時の着地による衝撃が一番負担が大きくなります。これは膝関節と同じですね。
偏った側は体重と重心がズシリと股関節と膝関節、足首にかかりますので弱っている状態だとひとたまりもありません。
体重が乗った瞬間に「ズキン!!!」と足の付け根に電気が走るケースが非常に多いです。
股関節の問題を考える前に先に重心を考えよう
変形性股関節症はレントゲン画像を前にして診断と説明が下りると思います。その為、頭の中には「隙間の狭くなった股関節」が焼き付くはずです。
ですが、症状を改善させる事とこれ以上悪化させない事を考えると「重心位置のズレ」を先に考えて改善させた方が効果的です。
関節がそこまで押し込まれているのは「体重が偏って乗り掛かっているから」です。体重に加えて重力までもが片方の股関節に偏っています。
それを左右に分散させる事によって股関節にかかる負担を軽減し、結果的に症状を軽くしていくのです。
狭くなった股関節に意識が集中してしまうと「牽引療法」等で何とか隙間を広げようと取り組む事が多いのですが、どれだけ牽引で広げたとしても掛かり続ける「大きな負荷」がある限りはまた押し込まれてしまいます。
関節の状態よりもまずは重心位置。
変形性股関節症でお悩みの時にはその1点だけは忘れないで下さい。
股関節の施術は膝関節の治療と繋がっている
変形性股関節症の施術は結果的に変形性膝関節症の施術に繋がってきます。陸続きみたいなものです。
股関節も膝関節も、どちらも体重と重力が過剰に掛かってくる側に起こります。股関節だけが悲鳴をあげていたとしても膝関節は無傷というケースはほぼありません。
股関節に異常が出ている場合、膝は曲がり膝関節への負担はかなり大きくなっています。膝が曲がりっぱなしの状態にあるとやはり半月板にかかる荷重が後方へと傾いてしまい変形性膝関節症の萌芽を生んでしまうのです。
膝が先なのか、股関節が先なのかは「鶏と卵」の話になってしまうのでナンセンスなのですが、どちらか一方だけが進行していくという事はまずありません。
ですので、当院では変形性膝関節症の患者様であっても変形性膝関節症の患者様であっても、足首を含めて下肢全体を必ず見ます。
膝をしっかりと伸ばせる状態に、重心位置が丁度両足の間に戻る様に、足の指先までしっかり力が入る様に調整する事で変形性股関節症と変形性膝関節症を改善、予防します。