ダイエット、トレーナー系統で避けては通れない代謝の知識
- ダイエットのアドバイス
- トレーナーとしてのアドバイス
どちらの活動においても避けては通れないのが「代謝」の知識です。ここは徹底的に追い込んでおかないと患者さんに間違った事を伝えるケースが健康業界で続出しているので非常に危険なポイント。
何せ医学書間でも書いている事が違う(笑 どっちが正しいんだと言いたくなる内容が結構見受けられます。
という訳で、当院でも代謝に関しては徹底的に復習をしました。
エネルギー代謝の基礎知識
まず、エネルギー代謝活動についての大前提は以下の通りです。
- 代謝活動は細胞内にて行われる
- 細胞内で行われるのが解糖系
- 細胞内のミトコンドリア内で行われるのがクエン酸回路・電子伝達系
代謝経路は主に「解糖系」「クエン酸回路(TCA回路)」「電子伝達系」の3つと考えましょう。
解糖系について
グルコースの代謝過程を解糖系と呼びます。グルコースがピルビン酸へと代謝されるプロセスです。この経路で作られるATPは2分子で、酸素が十分にある場合の好気的解糖系と酸素が十分にない嫌気的解糖系の2種類からなります。
1.嫌気的解糖系でのグルコース
酸素の供給が不足している嫌気的状況ではピルビン酸はミトコンドリアへ取り込まれず、ピルビン酸が乳酸へと代謝されます。この乳酸は筋肉に蓄積し、Phを酸性へと傾ける為に代謝活動全体の低下が起こり「疲労感」としての感覚が生じます。脳疲労とは全く別の疲労感です。
ちなみに「酸素の供給が足りない」状況というのは「激しい運動時」という事です。
2.好気的解糖でのグルコース
酸素の供給が十分にある場合、好気的解糖と呼ばれる代謝過程に入ります。この場合はエネルギー基質としての主役はあくまで脂肪でグルコースは脇役です。ピルビン酸をミトコンドリアへと送り込み、アセチルCOAへと代謝し、クエン酸回路を回転させる役割を担います。脂肪代謝を活発にするにはクエン酸回路の回転が必須です。そしてクエン酸回路を活発に回転させる為には「アセチルCOA」が必須なのです。
グルコースの特徴
通常時のエネルギー源としては「脂肪」が主役ですが、そんな中でもグルコースならではの特殊性があります。それが「神経細胞のエネルギー基質」としての役割です。神経細胞はどの様な状況であってもそのエネルギー源としてグルコースを主に利用します。その為、どれだけ脂質などのエネルギー基質が豊富であっても「グルコース」が不足していると脳の機能が著しく低下していくのです。
糖質制限ダイエットで意識が薄くなるのはカロリー不足ではなく血糖不足が原因です。
クエン酸回路(TCA回路)について
解糖系が好気的解糖で回っている時、代謝の第二段階として「クエン酸回路」が回り出します。これは細胞内でもミトコンドリア内で起こる反応です。人間のエネルギーを効率よく生産するのは実は人間の中にいる「別の生物」だというのは不思議なものです。
脂肪酸が代謝されるクエン酸回路(TCA回路)
このクエン酸回路にはピルビン酸の代謝物であるアセチルCoAが参加します。アセチルCoAが参加する事によってクエン酸回路が活発に回転し、活発に回転しているクエン酸回路に脂肪酸が参加する事で脂肪燃焼が活発に行われる流れです。ですので、好気的解糖系と一体化した仕組みだと覚えておいてください。一方が欠けたらきちんと回りません。
なお、脂肪酸がミトコンドリア内でクエン酸回路に参加する際「β酸化」と呼ばれる代謝が起こります。
クエン酸回路が回転不足だとケトン体が生まれる
クエン酸回路が回転不足の状態だと脂肪酸は「アセト酢酸」「アセトン」「βヒドロキシ酪酸」を代謝物として生産します。いわゆる「ケトン体」「アセトン」と呼ばれるものです。