変形性股関節症を理解しましょう
変形性股関節症とは変形性関節症の股関節版となります。股関節を構成している凸凹の骨に異常が生じた状態です。
- 凸:大腿骨骨頭
- 凹:寛骨臼
変形性股関節症は主にこの二ヵ所で変形が生じます。
多くは凸側の問題となる
変形性股関節症の多くは凸側の骨、大腿骨骨頭部の変形が問題になります。繰り返される荷重の中で大腿骨頭表面の軟骨部の合成と分解のリズムに狂いが生じてしまい骨頭が変形を起こしていくのです。
場合によっては壊死を起こす事もある疾患です。要は「骨頭の特定の部分に負荷が集中し過ぎている」事が原因です。
変形は元には戻らない
基本的には損傷した軟骨部分の組織の修復は起こりません。起こるのはあくまで「再生」です。
少しややこしいのですが、壊れた組織を修復して元に戻す形ではなく、壊れた組織は使い捨てで分解し、新たに合成をして欠損部の補填をかける事になります。
骨折と同じで、損傷個所が復元はされるものの「元の状態とは少し異なる形」での復元となります。これは筋肉でも同様の事です。生物の基本だと考えてください。
同じ状態に戻るか、より大切なことがある
変形性股関節症はレントゲンで変形した股関節を目の当たりにすることからも、「変形する前の状態に戻るのか否か」に患者様の意識が集中してしまう事が多いです。
ですが、変形性股関節症に関してはそれよりももっと意識を向けるべきことがあります。
大切なことはAOLとQOLを守る事です
当院が変形性股関節症の患者様に施術を行う際、特に大切にしている点が「AOL」と「QOL」を守るという2点です。
当院の場合は特にAOLを守る、取り戻すことを施術のゴールと設定をしています。
「AOL」とは何か?
QOLに対して余り耳慣れない言葉のAOLですが、実はこちらの方が大切です。日本語にすると「日常動作の質」になります。
何故か日本では「生活の質」としてQOLが重要視されていますが、生活の質は全て「日常動作の質」あってのことだと私は思っています。「当たり前の日常を、当たり前の様に過ごせる状態」があってこそ初めて「生活の質」が向上していくのです。
- 「シャツを着替える」
- 「靴を履き替える」
- 「棚の物を取る」
- 「家の中を歩く」
こういった「気にもしなかった日常動作」が途端に制限を受けるのが変形性股関節症です。生活の質よりも「日常を奪われる」事によるストレスが大きいのが変形性関節症の特徴だと言えるでしょう。
QOL
日本ではなじみ深い言葉の「QOL」ですが、AOLに比べると抽象的で広い概念の言葉であり「生活全般の質」の事を指します。
当院としては「AOL」を取り戻す事で結果的にQOLが向上していくと考えています。