病院とは違う目線が必要になる関節症
変形性股関節症は50代以上の疾患である。そう考えている人が圧倒的だと思います。
病院の先生ですらそういった考え方の人は多いです。
ですが、私達患者はもう少し変形性股関節症を前もって考えておくべきだと思います。病院の先生が口にする変形性股関節症とは「もうその状態になっている」という事が大前提です。診断学なんですから当然ですよね。
ですが、私たち患者が向き合うべきは「そうなる前」「そうなりつつある」の段階です。
そこが完全にスルーされているからこれほどに患者数が増えているのです。
そうなってしまったら当然「病院のお世話」になる必要があります。ですが、そうなったら「股関節はもう変形している」状態なのです。
少し怖い言い方をすると「手遅れ」なんですね。
変形した股関節を治すのではなくこれ以上悪化しないようにするための取り組みが病院での治療です。
そして切り札としてあるのが「人工関節置換術」なのですが、これは60代以上の高齢者が適応となります。
それ以前の患者さんは「保存療法でしのぐ」方法しか無いのです。
既に変形した股関節に悪化を防ぐ保存療法をする。
それでは患者様が望むような回復は中々難しいです。症状悪化を食い止める事が前提になります。
最後まで自分の足で歩く為にも私達患者は「そうなる前」の予防段階から積極的に自分の身体に関わるべきです。
変形性股関節症は不可逆的な疾患
股関節の変形は不可逆的で戻れません。「歯」と同じで1点物の使い捨てです。
大事に使えば一生使えますが、乱雑に扱えば人生の途中で悲鳴をあげます。そしてとても辛抱強いのが股関節です。
変形性股関節症と診断をされてしまうという事は「戻れないくらい股関節が痛んでいる」という事でもあります。
股関節が痛めば痛む程に「二足歩行」に影響が出てきますので「日常でできる事」が削られていきます。
そうならない為にも、日常的に肩とあわせて股関節のセルフケアはしてあげましょう。
セルフケアの質は気にしなくていい。
日本人はとにかく真面目な為に「セルフケア」にしても高い質を追い求めます。
それは全く気にしなくていいです。身体との会話ができる様になれば身に付きます。
それよりも日本人に必要な事が「実践すること」です。とにかく試して取り組んで経験を積んでください。
最初から完璧な状態で取り組もうとするのは日本人の悪い癖です。
痛めてからでは股関節のケアが「痛くて」できない
これが変形性股関節症や変形性膝関節症で最も多く、最も厄介な現状です。
明確な症状が出てから病院に行き、診断を受けて対策を先生に教えてもらいます。
でも、既に病院に行くほど痛い訳です。股関節や肩関節に良い運動を指導されても「痛くてできない」という状況で前に進みません。
これは私達の身体との向き合い方が少しズレてしまっているから起こります。
病院で指導される「運動療法」は基本的に予防医学
病院で教えてもらう方法が「治療法」だと考えている方も多いですが、基本的に「予防法」です。
しっかり関節を動かす事によって関節の状態を良好に保つための「予防法」です。
それを「これ以上悪くならない様に」という形で患者様に指導していくので「痛くてできない」というケースが起こります。
結果として「痛みの無い範囲で取り組む」という形に落ち着きますが、そうなると本来の関節の可動範囲に比べてかなり小さな範囲での運動となってしまいます。
これでは「今、動かせる範囲を守る」為の守りの対応になるのです。これは受診のタイミングが「発症後」の為に仕方が無いと言えるでしょう。
もっと積極的に関節ケアに関わろう
肩関節、股関節。どちらの関節にしても「変形を防ぐ」為に必要な事はとてもシンプルで
日常的によく使う
という「人間の基本設計」に従うだけです。
これは臨床を積めば積むほどに明確になります。肉体労働の人は身体の疲労は溜まっていますが筋肉や関節はとても元気です。関節が柔軟に動いているので重心ポイントが正常です。
それに比べてデスクワーク中心の人は肩関節も股関節もとても固く、可動制限が正常ではありません。
関節が固まれば姿勢は歪み、重心のセットポイントがズレて関節への負担が増していきます。
その結果起こるのが「変形性関節症」という訳です。
正しい姿勢、重心ポイントを取ればいい
変形性関節症は歪んだ姿勢と重心のズレで生じる疾患です。
そして歪んだ姿勢と重心のズレは「運動不足」から生じていきます。
つまり「適度な運動習慣」をつけておけば大抵の関節障害は防げるのです。本当に。
病気の多くはとてもシンプルで原始的な理由が潜んでいます。治療法はともかくとして予防方法はとてもシンプルで原始的です。
病気というより「身体に起こる変化」として変形性関節症を捉え、自分でしっかり予防を踏まえた日常を過ごせば大丈夫です。