当院の四十肩・五十肩との向き合い方
- 「四十肩・五十肩と診断をされています」
- 「肩関節周囲炎と診断を受けました」
- 「凍結肩と言われました」
問診の際にこの様な事を言われた場合、当院はまず「肩関節の状態」を正確に知ることを優先しています。
ですので病院で撮影した画像を初診時に持ってきてもらう事が多いです。
- 石灰化が起こっているのか
- 骨棘が形成されているのか
- 滑液包の炎症があるのか
診断名がどうであるかよりも「関節の状態」の方が重要だと考えているのです。
特に肩が水平以上に上がらない。痛みが強い、引っ掛かるといった症状の患者様なら尚更です。
物理的な障害が存在しているのか、軟部組織の癒着によるものなのか。果ては筋肉が邪魔をしているだけなのか。
施術可能な否か、また最適なアプローチは何かを判断する為の情報をまずは集めます。
とにかく「正しい診断」よりも「確かな情報」が施術においては宝です。
骨棘の形成、関節包の炎症が起こっている
骨棘はレントゲン診断で前々から言われていた事なのですが、エコー検査の導入によって関節包の炎症が確認されるようになってきました。
つまり四十肩・五十肩と呼ばれる疾患の場合は、物理的に関節運動を制限するものがあり無理な動きを指せ続けた結果「慢性的な炎症」が起こり、更には骨棘の形成、石灰化・沈着が進む事で更に関節可動範囲が狭くなるという悪循環が起こっているのです。
石灰沈着性腱板炎や腱板損傷
石灰沈着性腱板炎は腱板にリン酸カルシウムの塊が生まれる(結晶化)する事で起こる炎症です。
厳密には骨棘とは別ですが、骨の主な成分はリン酸カルシウムですので実質的には新たな骨化現象といっても良いのではないかと思っています。
その方が分かりやすいです。
問題はどうして「腱板内で石灰化が起こるのか」という点ですが、これについてはまだ未解明となっています。臨床の経験から言うなら「腱板損傷」と同じく
- 肩の酷使(特定動作の繰り返し)
- 全く使わない実質固定の場合もある
- 誤った使い方(特定筋肉のみ使う)
- ケアを怠る
- 乱れた食生活(栄養が不足)
- 睡眠不足
これらの要素が組み合わさって起こっている印象があります。年齢的には中高年に多いです。
これは院長個人の考えとなりますが、「肩関節に無理をさせ続ける」という事がやはり一番大きな要因ではないかと考えます。
一方の腱板損傷ですが、これはもう「使い過ぎ」が多いです。腱板損傷を診断された患者様は基本的に以下の状態です
- 石灰化がみられる
- 骨棘が見られる
- 肩が水平位置から上がらない
- 上げた肩を支えられない
- 寝る時に痛みが出る事がある
この状態で50代~60代の方が整形外科に向かえばまず「腱板損傷」の診断です。場合によっては肩が上がらない・支えられないの検査の時点で診断がおります。
腱板損傷は時間薬
50代~60代に多い腱板損傷ですが、「損傷」自体に関しては時間薬が一番だと思います。
- 使い過ぎ
- 使い方の不具合
- 筋肉のバランスの偏り
等が主な原因となって起こる腱板損傷ですので、とにかく「休める事」が大切です。患者様の多くはスポーツを楽しむシニアが多いので「使いながら克服したい」と希望される方が多いですが、それは流石に無茶です。
当院では「時間薬」で損傷部位が回復していく間に「別の視点でアプローチをする」事を提案しています。
- 腱板強化
- 腕の正しい使い方の習得
- 休め方の学習
目的は腱板損傷を克服して損傷前の生活に戻る事です。特にスポーツをされている方の場合は損傷前のパフォーマンスに戻すことが目標となります。
ですので、腱板損傷が起こった原因を1つ1つ解決していき、時間薬で戻ってきた肩をサポートできる体制を自分自身の中に用意しておきましょう。
筋骨格系のトラブルは「再発防止」の学習と取り組みの方が大切です。状態を戻すのは休めば戻りますので難しい事では無いのです。