【最終更新日:2016/07/07】
解剖学30 【第8章:神経系】 2.中枢神経系[5]
末梢神経系
- 中枢神経系と末梢の身体各部分を繋ぐ神経系
- 主に神経線維の繋がった「束」からなる。
- 一般的に言われる「神経」とはこの束である。
- 神経細胞の細胞体が集まる「膨らみ」を神経節という。
- A:末梢神経
- B:脳脊髄神経
- C:自律神経
- 交感神経は完全に独立した神経
- 副交感神経は脳脊髄に紛れており、形態的に分離が困難。
1.脳神経
- 脳から出入りする「末梢神経」
- 左右12対、各脳神経には1~12までの番号が振られる。
- 脊髄神経は脊髄に出入りする前根と後根が合流したもの。
- 感覚性:Ⅰ,Ⅱ,Ⅷ
- 運動性:Ⅳ,Ⅵ,Ⅺ,Ⅻ
- 副交感性:Ⅲ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ
2.脊髄神経
1.脊髄神経の全体像
- 脊髄神経は脊髄に出入りする末梢神経
- 31対、分節性のある神経
- 頚神経8対:C1-C8
- 胸神経:12対:T1-12
- 腰神経:5対:L1-5
- 仙骨神経:5対:S1-5
- 尾骨神経:1対:Co
2.脊髄神経の根部
- 脊髄神経の根元は脊髄に出入りする「前根」「後根」からなる。
- 両根が脊柱管内で合流して脊髄神経ができる。
- 前根には骨格筋を支配する運動ニューロンの繊維
- 後根には末梢の感覚を中枢に伝える感覚ニューロンの繊維
- 自律神経の節前ニューロンも前根を通る。
- 前・後根の合流部からは運動・感覚の繊維が混在する。
3.前肢と後肢
- 椎間孔を経て、脊柱管を出た脊髄神経はすぐに前肢と後肢に分かれる。
- 前肢は腹側、体壁、上肢、下肢の筋肉に分布。
- 後肢は固有背筋の支配。
- 前肢は太く、後肢は太い。
4.分節構造と神経叢
- 発生の初期は明確な31対の分節構造となる。
- 身体の分化・成長に伴い、器官の移動、局所的な成長に伴い「分節に乱れが生じる」
- 上肢、下肢は形成に伴い神経が引っ張られる。
- 上下に隣り合った前肢が草むらのように交通して神経叢となる。
- 上肢の腕神経叢
- 下肢の腰神経叢、仙骨神経叢
- 肋骨が存在する部位は分節性を保っている。
- 頚椎は肋骨が無いので頚神経叢が形成される。
- 後肢は分節性を保つ。
5.脊髄神経の分布先
1.頚神経:C1-8
i) :前肢
- C1-4の前肢は交通して頚神経叢を形成する。
- C1-3は頚神経ワナを形成
- C4横隔神経:胸郭上部~胸腔を通って横隔膜を支配する。
- C5-C8:T1と交通しあって腕神経叢を作る。
ⅱ) : 後肢
- C1:後頭下筋群を支配する。
- C2:特に発達している
2.胸神経:T1-12
i) :前肢
- T1-11は肋間神経として胸部~腹部を支配する。
- T12は腰神経叢に合流して肋下神経へ。
ⅱ) : 後肢
3.腰神経
i) :前肢
- T12と共に腰神経叢を形成
- L1は鼠径部、L2-4は大腿内側から前方の筋を支配。
- L4-5は腰仙骨神経幹を形成し、仙骨神経叢に合流。
ⅱ) : 後肢
- 腰部の筋、皮膚を分節的に支配。
- 特にL1-3は臀部に引き摺られ、長く伸びて上殿皮神経となる。
4.仙骨神経:S1-5
i) :前肢
- 前仙骨孔から出る
- L4-5と合流し仙骨神経叢を形成。
- 大坐骨孔を通って臀部に出て「臀部」「大腿後面」「下腿」「足」の筋を支配する。
- S2-4は臀部神経として骨盤底筋と会陰部の筋を支配する。
ⅱ) : 後肢
- 後仙骨孔から出て、仙骨後方にある筋と皮膚を分節的に支配する。
- S1-3の後肢は臀部の成長に引っ張られ、中臀皮神経となる。