【最終更新日:2016/05/07】

生理学5【第一章:生理学の基礎】 体液の組成と働き

4.体液の組成と働き

身体を構成している水分を「体液」という。体液は体重の約60%。

1.体液の区分と移動

  • 体液の2/3(体重の40%)は細胞の中にある=「細胞内液」
  • 体液の1/3(体重の20%)は細胞の外にある=「細胞外液」
  • 両者は細胞膜で隔てられている。

そして、細胞外液は以下の二つに分類される。

  • 細胞を取り囲む「間質液(リンパ液)」が体重の15%
  • 血液中の「血漿」が体重の5%
  • 両者は血管壁によって隔てられている。

人間の全水分を36Lとすると、

  • 細胞内液が24Ⅼ
  • 細胞外液が12Ⅼ
    • 間質液が9Ⅼ
    • 血漿が3Ⅼ

2.体液の移動

細胞膜と血管(毛細血管)は半透性を備えている。

水、体液に溶けている物質(溶質)の「あるもの(全てでは無い)」はこれらの膜を通って移動することができる。

循環血中に流れているO2や栄養素は必要に応じて毛細血管から間質液に移動、細胞膜を介して細胞内へと入る。※不要な物質の場合は逆のルートで血中へと排出される。

 

3.体液のイオン

3.1 体液のPH

  • 体液のPHは7.35-7.45(弱アルカリ)
  • PH7.0は中性
  • PH7.0以下は酸性
  • PH7.0以上はアルカリ性
  • 人間は弱アルカリ性

体内では酸性物質、アルカリ性物質が作られたり、それらの物質が体外から取り込まれる。※代謝産物は多くが「酸性」である。

その場合、体内のフィードバック機構によりPHが自動調整される。※受容器による情報伝達から情報処理、対処の指示までの一連の流れ。

 

3.2体液のイオン

  • 陽イオン:Na⁺/K⁺/Ca⁺/Mg⁺/H⁺
  • 陰イオン:Cl⁻/HCO₃⁻(重炭酸)HPO₄²⁻/タンパク質

Na⁺は細胞外液中の陽イオンの80%を占める。つまり、Na⁺は細胞外液の浸透圧を決める第一の因子。「摂取と排泄(尿)」でバランスをとる。

K⁺は細胞外液中には少なく、細胞内液に大量に存在している。

カルシウム、リンは大部分が骨中に含まれている。

4.体液量と水分の出納バランス

健康成人の体液量は常に一定。※フィードバック機構により、取り込んだ量と排出量を一定にしているから。

取り込む水は「飲料水」と「食物」の水分が大半。10%は代謝産物の酸化水(酸化過程で生じる)

排泄には腎臓が主に働く。水分に関しては便、汗、呼気などもある。

return top